花追い人のホームページ   九州紀行−神々の住む郷
(2002. 7.19)

(2) 南阿蘇野草園(その2)

[6月27日(木)] (その2)


キツリフネ ハナイカダ
[写真1]:キツリフネ [写真2]:ハナイカダ

[写真1]:キツリフネ
葉の下に隠れるように咲いていたのでちょっと見過ごしそうだった。
しかも野草園のなかで2〜3輪しか見なかったのだから、気がつかなくても不思議ではない。
まあ、おそらくもっとたくさんあって、目に付かなかっただけだろうけれど。
ツリフネソウ類はホウセンカと同じ仲間で花の形はよく似ている。
熟した果実に触るとはじけて飛ぶこともホウセンカやインパチェンスと同じだ。(ツリフネソウ科)

[写真2]:ハナイカダ(実)
茎ではなくて葉の中央に花を咲かせて、そのまま実になるという珍しい植物だ。
実は専門的にいうと葉の中央脈と花柄が癒着しているということになる。
全国で普通に見られる。
但し、花も実も目立たない。(ミズキ科)



ワタナベソウ イヌゴマ(?)
[写真3]:ワタナベソウ [写真4]:イヌゴマ(?)

[写真3]:ワタナベソウ
四国と九州の深山の林中に生えるだけなのだそうだ。
手許のかなり大きな図鑑にも写真が出ていない。
もちろん、私ははじめてお目に掛かったものだ。
これを見た帰りの南阿蘇ヴィジターセンターの壁の写真を見て記憶していたもの。
そうでなければ、名称不明となったであろう。
名前は高知県の教員・植物採集家で発見者の渡辺協(わたなべ なこう)氏に因む。(ユキノシタ科)

2008.7.16 上記記載について補記

もう6年ほど前にアップした「九州紀行−神々の住む郷」のワタナベソウの解説について、下記の記載がある

ワタナベソウ
名前は高知県の教員・植物採集家で発見者の渡辺協(わたなべ なこう)氏に因む。

これに対して、(メール文は大幅に省略しています)

> 渡辺協(わたなべ なこう)氏と読むのかな?
> 或はワタナベ カナウ氏と読むのか分かりませんので?
> 教えて下さる様にお願い致します。

と言うメールをいただいた
植物と写真を紹介しているのであって、名前の読みについて問い合わされてもねえとも思いましたが、
一応私のHPに記載されている内容だから責任が有るわけで、

> お問い合わせの件につきましては
> 典拠をご回答させていただくことにとどめさせていただきます
> 朝日新聞社「週刊朝日百科 植物の世界 57 ユキノシタ ネコノメソウ」1995のp5−574
> に下記の記載があります
>> 和名と種小名のワタナベは、(略)渡辺協<なこう>が1889年、同村で最初に発見した(略)」
> この項の著者は若林三千男氏

と回答したところ、更に

> 御確認の上に
ページ記載を直して頂ければ幸甚です
> 高知県立牧野植物園にお訊ねしてみまして、田中伸幸先生から教えて頂きました
>> 渡邊協は「わたなべ・かなう」です。

いくらなんでも、他説があるというだけで訂正を求めるというのはあまりにも一方的かつ乱暴なので

> ワタナベソウ採集者の氏名について、他説が存在するということについては謹んで了解いたしました
> 貴殿は、訂正を求められているようですから
> この両説のうち、田中説を採られているようです
> 田中説を採用されるに至ったにはそれなりの考察をされていらっしゃるとは思いますが
> その根拠については触れられていません

と、

> そうですね!! 
私が求めなくても良かったのに済みませんでした!!
> 看過下さる様にお願い致します。

と一旦は、訂正要求は取り下げたかに見えたが、

> 典拠とされた書籍の出版社に、渡辺協<なこう>に付いて訊ねさせて頂きました処、
> 著者の若林三千男氏にお訊ね下さり、ご回答を下さったので頂いたメールを転送させて頂きます。
> 花追い人さんが
ページを如何されようがご自由ですので、調べた結果をお知らせさせて頂きます。
>> ご指摘の件ですが、やはりこちらの誤植でした。混乱させて申し訳ありません。
>> 以下に若林先生よりいただいたご回答もつけておきます。
>>> ご質問のワタナベソウの発見者、渡辺 協の名前の読み方の件ですが、
>>> 矢田部良吉によって1892年に新種として発表された原記載を見ましたところ、
>>> 採集者はKano Watanabe とありました。
>>> Kanoのoの上にはーがあります。したがって協の読みは「かのう」と思います。
>>> 「かのう」のつもりが、ふりがなをつける段階で誤って「なこう」となってしまったのでしょう。
>>> 昔ですから「かなう」と綴っていたかもしれません。

というメールを受け取った
これで、田中説を採用する根拠が示された訳で、
私のHPは結果的に誤記載ということになるが、これに対する回答はすぐにはできなかった
この実にわずか2日後、

> 2008年07月14日 月曜日 にメール送信させて頂きましたが、受信されておられたでしょうか?
>
誤植を其のまま転記された事になると思いますので、其の点をご留意頂きたい(←まるで脅迫ですね)

と言うわけで
それにしてもきちんとした文献を典拠とした記述であるのに、ここまでしつこく訂正を求める人もいるんですね
1995年に発行したものについて問い合わせを受けた朝日新聞社もびっくりしたことでしょう、担当者も居なかったんでしょうね
これだけメールを送ってきながら、私のHPの感想はもちろん、自己紹介すらまるで無かったんです
いったい何者なんでしょうね
一応HPのURLは示されていましたが、プロフィールの類は一切ありませんでした

というわけで謹んで訂正させていただきます
但し、「かのう」なのか、「かなう」なのかは明らかになっていません
私にはそんなことを調べる気は毛頭ありません、どうしてもというのならこの1行を削除します



[写真4]:イヌゴマ(?)
植物名にイヌとつくのは、○○に似ていて役に立たない、という意味である。
この草の実の形がゴマに似ているのだそうだ。
全国に分布するのだそうだが、あまりしげしげと見たことは無い。(シソ科)



ヤマアジサイ クサレダマ
[写真5]:ヤマアジサイ [写真6]:クサレダマ

[写真5]:ヤマアジサイ
平地でアジサイが雨に打たれている頃、山ではヤマアジサイがブルーの花を咲かせる。
アジサイよりはずっと地味な花だがなかなかの風情だ。(アジサイ科・少し前の図鑑ではユキノシタ科)

[写真6]:クサレダマ
クサレダマというと、腐れ玉の文字を連想してしまうが、レダマというマメ科の木とよく似た草という意味だ。草連玉。
「クサ・レダマ」という感じで発音しましょうね。
北海道、本州、九州に分布していて割とお馴染みの野草である。(サクラソウ科)



ハナシノブ ハナシノブ
[写真7]:ハナシノブ [写真8]:ハナシノブ

[写真7][写真8]:ハナシノブ
ハナシノブは九州だけに分布する花だ。
だから、この花に出会ったときに、よくぞ九州にやってきたと思っても良さそうなものだが、そうはいかなかった。
というのは、北海道でエゾノハナシノブ、信州でミヤマハナシノブに出会っていて、しかも区別が付かないくらいよく似ているからだ。
花を見ている実感としては、はるばる九州というよりも、北海道の植生によく似ているというのが偽らざる印象であった。(ハナシノブ科)



マムシグサ(実) ノコギリソウ
[写真9]:マムシグサ(実)   [写真10]:ノコギリソウ

[写真9]:マムシグサ
まあ、野草としてはどこででも見られるありきたりということになる。
ちょっと不気味な風貌とまむしを連想させる茎の模様によって、好きな人と嫌いな人とが極端に別れることで有名だ。
花が終わるとあの鎌首を持ち上げたような苞が落ちて中の実が露出する。
まもなく毒々しい真っ赤に染まるが、いまのところはグリーンがきれいだ。(サトイモ科)

[写真10]:ノコギリソウ
葉っぱを見ると細かい切れ込みがノコギリの歯のようになっていることからの名前である。
今、手許の図鑑を確認したら、分布は北海道・本州とある。
ということは九州には分布していないということのようだ。
植えたものか逸出したものかあるいはよく似た別種なのかも知れない。(キク科)



ヒメユリ
[写真11]:ヒメユリ

[写真11]:ヒメユリ
可憐な姿から姫百合の名がつけられたが、まさに草原にたたずむお姫様である。
自生地の環境破壊と園芸目的盗掘のため絶滅危惧になっているそうだ。
大陸遺存種ということで阿蘇・くじゅうにはふさわしい花。
この世のものと思えないこんな色も大陸譲りなのだろうか。(ユリ科)

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