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 ■ 写 真 を 楽 し む 生 活

 写真が好きなすべての人に役立つ情報クリップ

 第0056号 2002年11月19日(火)発行

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 ┃コラム
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 ■腕前はアマチュア級

                            花追い人
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 ・プロ級というのは誉め言葉?

 写真を趣味にしているアマチュアはプロ級という「誉め言葉」に
 見舞われる。しかし、それは果たしてほんとうに誉め言葉なのだ
 ろうか。そもそもプロとアマチュアではその目的が異なる。なら
 ばアマチュアはいつまでたってもアマチュアでいいのではないか。

 ・写真雑誌

 いまやおびただしい数の写真雑誌が出版されている。それらは概
 ねプロの写真家がプロの技術について書き、それをアマチュアが
 自らの技術としようとしている。本来目的の違う技術を必死に取
 り込もうとしていることに滑稽さを感じるのは私だけであろうか。

 ・プロの仕事

 作家的な活動をしているプロ写真家はほんの一握りだ。大多数の
 プロの仕事はどんなものであろうか。写真館で結婚式や成人式、
 家族の記念日の撮影をする。スーパーの広告のおびただしい数の
 野菜や缶詰の写真を撮る。小学校の入学式や修学旅行。などなど。
 広告写真、ファッション写真、報道写真、建築写真、観光写真な
 ど仕事は多岐に渡る。しかし、プロの仕事というのは基本的には
 好きなものを撮るということはない。証明写真でモデルが気に入
 らないから撮影しないということはあり得ない。作家的な写真家
 であっても、写真展や写真集の構成に従って必要な写真を揃えて
 ゆくのが仕事なのである。

 ・一方アマチュアは

 アマチュアには好きでないものは撮らないという特権がある。い
 くら家族の記念日でも気に入ったモデル以外を撮影する必要はな
 い。スーパーの写真は面白くなかったら撮影することはない。そ
 れは撮影する技術があるのかないのかには関係ないことだ。

 ・写真家の評価は

 プロの写真家に失敗は許されない。こう言うと結構かっこいいん
 だけれどそうでもない。きゅうりの写真一枚を失敗してはスーパ
 ーのちらしは作れない。証明写真を失敗したらパスートの申請に
 間に合わない。つまり、1000枚の写真を撮るときに一枚でも失敗
 したらプロの仕事としては評価されないことになる。プロは最低
 の仕事によって評価されるということだ。つまり、そのひとの最
 低の仕事でもなんとか使いものになればプロとしての信頼を得る
 だろう。しかし、その最低一枚が使いものにならなければプロと
 しての信頼は得られない。一方、アマチュアはどんなにたくさん
 失敗作を撮っても、そのことによって信頼を失うということはな
 い。生涯に一枚でも傑作をものにすれば、アマチュアは評価され
 る。いいかえれば最高の1枚により評価されるということである。

 ・再び写真雑誌

 写真雑誌で繰り返し特集を組まれるのは露出補正であったり構図
 であったりする。つまるところ、露出では段階露出が必要であり、
 構図では縦横両方を撮っておくという結論になっている。しかし、
 それは失敗しない為の技術ではないのか。きゅうりの写真の縦横
 を撮っておけば、ちらしを作るときのレイアウトの自由度は増す。
 段階露出により失敗の可能性は減少するであろう。

 ・アマチュアの技術とは

 では、生涯最高の一枚を撮るための技術というのはどのようなも
 のだろうか。もちろん、そんなものに答えはない。たとえば、光
 廻りのよい薄曇りの日を選ぶのではなく、露出が難しいが成功す
 れば光のドラマが得られるピーカンであえて撮影をする。一般に
 は条件の悪いといわれる雨の日にあえて水滴のドラマを期待して
 撮影に出かける。ひょっとすると雨上がりという最高の条件に巡
 り会う可能性がある。失敗の可能性は高いがうまくいくと大成功
 が得られる逆光線の多用などもいいかも知れない。通常の目の高
 さからの撮影は無難だが、あえて極端なローアングルやハイアン
 グルの使用などもそういう意味からはいいかも知れない。そうい
 う意味では、超望遠や超広角レンズはアマチュアのためのレンズ
 かもしれない。

 ・めざせアマチュア級

 失敗が許されないプロであればどうしても無難な撮影が必要にな
 る。アマチュアは失敗作を恐れる必要はないのだ。さあ、生涯最
 高の一枚を目指して撮影に出かけようではないか。めざせアマチ
 ュア級である。

 【はなおいびと】
 写真の腕前はアマチュア級!
 「花追い人のホームページ」主宰
 <http://hanaoibito.jp/>