8.尾瀬植物研究見本園(3)/尾瀬ヶ原(1)
[7月24日(木)] (その3)
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ヒツジグサ |
尾瀬植物研究見本園の中にも小さいながら池塘が存在する。
ちなみに池塘(ちとう)とは、湿原の中にある池のこと。
ここには、スイレンの一種であるヒツジグサや、
ミツガシワ、フトイなどの水生植物が生息する。
そういう豊かな生物相の温床となる。
魅力的な空間だ。
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カラマツソウ |
カラマツソウの名前はこの白い花が、唐松(カラマツ)の葉、特に新緑の時の葉に似ていることから付けられたもの。
清潔感いっぱいの白い花は、清々しい空気に満たされている尾瀬にふさわしい美しさだ。
必ずしも目を引く花とは言い難いが、さわやかな空気に溶け込むような花だと言える。
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研究見本園看板 |
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研究見本園看板 |
尾瀬植物研究見本園。
広大な尾瀬ヶ原のほんの一画を担っているだけなのだが、小なりといえども豊かな自然。
最後に看板を見て、尾瀬ヶ原に入る。
山の鼻からいろいろな花を観察しながらヨッピ川、東電小屋方面に歩を進める。
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クルマユリ |
豪華絢爛というにふさわしいクルマユリである。
厚みのある花弁(花被片といったほうが良さそうだ)、花粉いっぱいの雄しべの葯(やく)。
そろって派手なだいだい色。
一輪でも十分に豪華だが、数輪固まって咲いているときの存在感は大変なものだ。
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ゲンノショウコ |
いっぽう、こちらは足下に咲く小さな花だ。
正直なところほとんど存在感は感じられない。
気付かずに通り過ごしてしまう。
あるいは、踏んづけて行っても気がつかないかも知れない。
にもかかわらず、しゃがみ込んでゆっくりとのぞき込むとこんなにも美しい。
白い花には微妙に紫の筋が入っている。
ピンクの雌しべに先端に青い葯のついた雄しべはどうだ。
さすがに目ざとい昆虫はしっかりと見つけて蜜を吸いに来ている。
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尾瀬ヶ原木道 |
首都圏から日帰り可能な尾瀬は週末の利用が極端に多い。
そんな尾瀬で、 ミズバショウが終わって、ニッコウキスゲには少し早い時期だ。
当然平日はガラすきになる。
あえて、人がたくさん入り込むように撮ったのがこれだ。
場合によっては20分くらい誰にも会わず、前後に人が見えないなんてことがあるくらいだ。
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湿原の中の川 |
湿原の中にときどき小さな川が流れ込んでいる。
普通は木の生えない湿原でも川に沿って小さな林が現れる。
これを拠水林という。
この水がきれいなのは言うまでもない。
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オオウバユリ |
オオウバユリはまだつぼみであった。
一本の茎(花茎)から少しずつずれてつぼみが付いていた。
これが控えめに開花する。
花も実になった時も魅力的な花である。
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池塘 夏雲 |
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池塘 ヒツジグサ |
湿原内の池塘は植物の宝庫でもあるのだが、水鏡として山や空を映し出す。
夏雲を写し込んだ池塘、ヒツジグサの葉をいっぱいに広げているが、やはり青空を写しているからこその池塘。
これも魅力的な尾瀬の夏だ。
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池塘 ヒツジグサ |
ヒツジグサ(未草)はその名の通り「未の刻」に開花する。
正午12:00が「午(うま)の刻」、その次の時刻が「未(ひつじ)の刻」。
つまりは、14:00を中心として前後1時間、13:00〜15:00をいう。
時刻は10:00ころ。
この時刻にはまだ開花していない。
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ヒツジグサ |
同じく池塘に並んだヒツジグサの葉。
光沢のある葉に直接太陽光線があたっているため、ギラギラと輝いた様子が写っている。