花追い人のホームページ   九州紀行−神々の住む郷
(2002. 9. 4)

(10) くじゅう野の花の郷

[6月29日(土)] (その2)


植物園というのは、季節により花いっぱいで息つく暇もないということもあり、また一方でさんざん歩き回ってもほとんど花が見られないこともある。
それでも入園料は変わらないというのが一般的だが、ここ、くじゅう野の花の郷の入園料は、200円〜300円。
これは花の開花状況により変動するということだ。そして冬季は無料になるとのこと。
良心的なのかどうかはよく分からない。
花の少ない時期はほとんど入園者はいないのだから安くしたり無料にしたりしてもさほどの影響はなさそうである。



ママコナ レンゲツツジ
[写真1]:ママコナ [写真2]:レンゲツツジ

[写真1]:ママコナ
ママコナは "飯子菜"。
若い種子が米粒に似ているからとか、花弁ののどの部分に米粒を2つ並べたような盛り上がりがあるからとか。
やせた乾き気味の山地の林下に生える半寄生の一年草とある。(ゴマノハグサ科)。

[写真2]:レンゲツツジ
ツツジは九州というイメージがあるのだが、このレンゲツツジは北海道、本州、四国、九州とほぼ全国で見ることが出来る。
私にとっては信州の乗鞍高原や八千穂高原を連想させる花になっている。
ツツジの中でもひときわ鮮やかな朱橙いろが印象的だ。(ツツジ科)



ソバナ
[写真3]:ソバナ

[写真3]:ソバナ
このツリガネニンジンの仲間はよく似たものがいろいろとあって厳密に見分けるのは難しい。
イワシャジン、ハクサンシャジン、ヒメシャジン、ミヤマシャジン、・・・。
多くはタイトスカート状だが、ソバナなどいくつかはフレアスカート状に裾の方が開いている。
スカート状のものは下から見上げてみるというのは花写真のセオリーだ。(キキョウ科)



ヤマアジサイ ツタ
[写真4]:ヤマアジサイ [写真5]:ツタ

[写真4]:ヤマアジサイ
ガクアジサイとよく似ていて、図鑑の記述を読めば読むほど分からなくなるというのが正直なところだ。
両生花(周囲の装飾花ではなくて中心部のもしゃもしゃしたところ)が淡青色になるのはガクアジサイとなっているものもあれば、
ヤマアジサイとして青い両生花の写真を載せている図鑑もある。
いちおう葉が細長くて光沢が無く全体に小さいところからヤマアジサイとしておくが本当のところ自信がない。(アジサイ科/少し古い図鑑ではユキノシタ科)

[写真5]:ツタ
くじゅう野の花の郷の外周部は林になっていて、その中の木にはこんあふうにツタが絡まっている。
壁や木を "伝う" から "ツタ" になったそうだ。
漢字では "蔦" と書く。
秋の紅葉はきれいだろうな。(ブドウ科)



ハナシノブ
[写真6]:ハナシノブ

[写真6]:ハナシノブ
この九州紀行の第2章で南阿蘇野草園でご紹介したハナシノブである。
同じは花でも雨が降っているときは色が濃く、美しく見える。
植物は雨の中で見る方が美しく見えるものが多い。
雨を歓迎して喜んでいるようである。(ハナシノブ科)



オカトラノオ
[写真7]:オカトラノオ

[写真7]:オカトラノオ
花穂が虎の尾のようなのでトラノオの名が付いた。
このことを知っていると花穂全体の形に目がいくことになる。
ところが、花穂ではなく、個々の花に目をやれば、ひとつひとつが大変美しい花だということに気がつくはずだ。(サクラソウ科)



ヤエドクダミ ネジバナ
[写真8]:ヤエドクダミ [写真9]:ネジバナ

[写真8]:ヤエドクダミ
以下はくじゅう野の花の郷の温室内で撮影した花だ。
ドクダミは真ん中の垂直に立ち上がった部分に小さな花がついていて、4枚の花弁に見えるところは花ではなくて葉の変形した ”苞” であることは有名だ。
だから八重ドクダミというのは、花が八重化したのではなくて苞が八重化したということになる。
こうなると逆に本当の花の方は退化してほとんど見えない状況になる。(ドクダミ科)

[写真9]:ネジバナ
花がネジのように螺旋状につくからネジバナなんだけれど、
実際には巻き方はかなりいい加減で右に巻いたり左に巻いたり巻かなかったり。
そこへいくとこの花なんかは几帳面に巻いた方かも知れない。(ラン科)



オオセンナリ
[写真10]:オオセンナリ

[写真10]:
オオセンナリ
園芸植物というのは、名前が分からないと始末が悪い。
実際ほとんどの図鑑には出てこないので調べようが無いのだ。
毎年たくさんの種類が新規に市場に登場し、同じ数だけ市場から消えてゆく。
この花、どこかで見たような気がするのだが、・・・・。
というコメントを書いたところ、複数の読者から情報をいただきました。
和名のオオセンナリと教えていただいた方と園芸の世界で普通に使われている学名であるニカンドラである。
ペルーからチリにかけて分布する一属一種(似た植物が他に無いという意味)の一年草。
ナス科オオセンナリ(ニカンドラ)属 Nicandra physaloides ’Splash of Cream’
どうも有り難うございました。

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