花追い人の撮影日記
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花追い人の撮影日記(弥生)
前回は、初日の出のガイドを元日にお届けしたのでえらく不評を買いました。そこで、今回より1か月前倒しで掲載することにするのでなにとぞご寛容にお願い致します。
弥生3月は花追人としては長い冬眠から醒めて待望の春、紙面の都合で少し原稿を短くとのこともあり、前回までの1回2か月分の原稿を1回1か月分にして内容を充実させておりすることにいたします。
"啓蟄"(今年は3/05)というと何やら怪しげな虫たちがもぞもぞと動きだすイメ−ジだか、虫たちに花粉を運んでもらうという戦略にもとづいて植物たちが作った器官が「花」。虫たちの活動開姶はそのまま花のシ−ズンの始まりと言うことになる。
多くの人が最初に春を実感するのはいったいなんだろう。梅は多くの品穂があり順々に咲くので、咲き姶める時期は実感としては冬である。見頃は早春に掛かるのだが、梅はむしろ「もうすぐ春」という季節感。「梅は咲いたが桜はまだかいな」、というのが春を待っ独特の季節感である。マンサク、サンシュユ、ダンコウバイ、レンギョウ、ヒュウガミズキという早春を代表する黄色い木の花たちは、必ずしも目立っ花ではなく、万人が春を実感するにはややカ不足のようだ。きっと、多くの人が最初に春を実感するのは、ジンチョウゲのあの甘い香りなのかも知れない。通勤途中の裏道にひっモりと咲くタチツポスミレ、これこそ春の実感と思う人も多いのではないか。それからオオイヌノフグリのコバルトプル−、帰化植物とはいえもうすっかり日本人の季節感に定着した。
今回は、珍しく写真機材の話をとりあげよう。といっても、ヨドバシカメラやさくらやの店頭に並んでいるようなものではない。いわゆるビ−ンズバッダだ。小豆50Ogくらいを語めた大きめのお手玉である。私は娘をおだててつくって貰ったが、器用な方はご自分で作られると良い。これが、どんなローアングル対応の三脚よりも低い位置にカメラをセットでき、操作性・安定性共に抜群である。シュンラン、セツプンソウ、ミスミソウ、フキノトウ、キクザキイチゲ、ホトケノザなどなど、この時期にはビ−ンズパッグを用いるのにちょうど良い大きさの草花が一斉に開花する。虫のために開花する花を虫の視点から捉えるというのは、ひとっの花の見方ではないかと思う。ピ−ンズバッグはこうした狙いにぴったりの機材だ。これは3月から4月には重宝するが他の時期は全く使用することがないから私もこの時期だけ携帯するようにしている。
この時期の草花はいづれも、大きな群落として被写体にするよりは、ビ−ンズバッグを使って1〜2輪を比較的アップで狙うことが中心となるので、特別な撮影地の紹介は不要かと思う。神代植物公園、小石川植物園、向島百花園、赤塚植物園などで撮影可能である。但し、目立たない花が多く、地面を丹念に見て歩くことが絶対に必要だ。
場所はどこでも良いが、狙い目は、洛葉樹林の林底である。春、関東以北では雪が解けて地面が顔を出す。陽が強くなる。落葉樹の葉はまだ十分に繁っていないから一時的に林底まで陽が差し込む。昆虫たちも活動を開始する。こういう春のほんの短い期間に芽を出し、花を咲かせ種子を作る。落葉樹の葉が繁って林底が暗くなる頃には早くも地上から姿を消す。こういう生活形態を持つ早春植物を英語ではスプリング・エフェメラル(春の短い命)と呼ぷ。カタクリ、アズマイチゲ、ニリンソウ、ベニパナシャクヤク、ヒトリシズカ、などなど。こうした花は、一見可憐に見えるものが多いが、たくましい生き様だ。厳しい環境にうまく適応してけなげに生きる。こうしたものを捉えるのがネイチャ−フォトの醍醐味である。
フキ、ギンヨウアカシア、クロッカス、コプシ、ユキヤナギ、スノ−フレ−ク、ラッパズイセン、カンヒザクラ。さあ、春だ。
ところで、皇居東御苑のウメとシナマンサクについて前回紹介したところ、一結に撮影に行きたいと言う声が上がっています。いづれも比較的花期が長い植物ですが、2月17日から25日くらいがペストかと思われます。越生の撮影会の日程が未定ですが、こちらは個人的にひっそりとやりたいと思いますので、ご希望の方はこっそりご連絡をお願いします。
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