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花追い人の撮影日記


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花追い人の撮影日記(文月

セイタカシギ(東京港野鳥公園) 7月。 "半夏生" (7/01)、まだ明けぬ梅雨の雨に濡れて、ツユクサハンゲショウタイサンボクの花が見られる。すこし遅れてハスが開花する。同時に真夏のイメ−ジのヤプカンゾウノウゼンカズラが咲き始める。これで、季節感は一直線に夏へ。これと同時に早くも秋の気配のアキアカネが見られたりもするのだ。
  "小暑・七夕" (7/07)を過ぎるとサルスベリムクゲペチュニアだ。 "盆" (7/15)、今年(1996年)から始まった "海の日" (7/20)を迎えると、子どもたちは、通信簿、そして、夏休みだ。すっかり梅雨が明けて本格的な盛夏となる。ギポウシアサガオキツネノカミソリが咲き、炎天下にアプラゼミの声が響きわたる。麦わら帽子、氷イチゴ、そして、ビ−ルだ。
タシギ(東京港野鳥公園) 花追い人のタイトルに偽りあり。今回は野烏写真のお話である。
 首都高湾岸岸線を大井南で降りる。左側のJR大井基地が終わったところで環七に出会うからこれを左折。立体交差をのぼらないで下をくぐるようにタ―ンをすると東京港野鳥公園の入ロだ。駐車場完備。電車なら東京モノレ−ルの流通センタ−から徒歩2O分といったところだろうか。かも類をはじめとして圧倒的な種類数と個体数でにぎわう冬鳥のシ―ズンと違って、夏は野鳥の世界は落ちつきを取り戻している。しかし、それはシ−ズンオフを意昧するものではなく、留鳥と夏鳥にとって重要な繁殖のシ−ズンなのだ。
 ネイチャ−センタ−は冷暖房完備、雨が降っても濡れることなく、お茶を飲みながら、しかも、ほとんど歩かずに鳥が見られる。日本野烏の会のレインジャ−や他のバードウォッチャ―との情報交換が出来るので初心者でも鳥を見つけやすい。図艦や望遠鍍など、必要なものは一切備え付けてある。そして、飛ぶ鳥を上から見下ろすことが出来るのもここならではの特徴であろう。
カワセミ(東京港野鳥公園) カメラマンに人気ナンパ−ワンのカワセミは、人の気配におぴえることなく窓のすぐそぱにメスが一羽とまった。2回のダイビンダで2つの獲物。大変な勝率である。そのうちオスが現れて何度かダイビングを見せたがこちらはだいぷ勝率が悪そうだ。2羽で長いこと狩りと食事を楽しんでいた。コバルトプル−の背中、腹側はオレンジ色だ。スズメと同じ位の大きさだが、スズメと違って人を恐れないから撮影はずっと楽である。この時は、求愛餌給などは見ることができなかった。
 雛をたくさん引き連れたカルガモは大手町方面で名物になった。大自然の法則からは全く当然のことだが、連れている雛が大きくなるほどその数が少なくなってくる。最初は14〜15羽の雛がいたのが、この頃になると5〜6羽といったところだ。まだお母さんの後をついているだけだけれど、ずいぷんとしっかりしてきた。
 オオバンの赤ちゃんはバンの赤ちゃんにそっくりだ。親鳥がいっしょに歩いていなけれぱ全く区別が付かない。黒い "もこもこ" の雛が親鳥の後をいつもよちよちとついて歩く。水の上でも同じだ。
富士山とコアジサシ(葛西海洋公園) スマ−トな流線型の夏鳥。コアジサシはいつでも目の前の上空を飛ぴ回っている。海の上でときどき空中でホパリング(停空飛翔)をしたかと思うと、目星をつけて一気に水面に飛ぴ込む。魚を捉えるのだ。獲物を持って上がるのは2〜3割程度だ。背景の良いところで見当をつけて置きピンで待っているとホパリングを撮らえることが出来る。東京港野鳥公園ではちょっと無理だが、葛西海洋公園(葛西臨海公園の橋を渡った向こう側)なら、晴れた日には、この方法で富士山をバックにしたコアジサシのホバリングを撮影できる。
 ここ野鳥公園では、このコアジサシの繁殖が見られる。ネイチャ−センターから見える潮入りの池の島に巣をつくって卵を産む。メスが卵を抱いている間は、オスは休む暇もなく狩りを続ける。獲物を捕ったら、巣に戻ってメスに口移しで獲物を引き渡す。昨年はいくつもの巣に卵が産みつけられたけれど、結局一つも巣立ちすることは出来なかった。おそらくカラスの餌食になったものと思われる。コアジサシばかりでなくコチドリでも結果は同じだったそうだ。こちらはネイチャ−センターの3階窓のすぐ外側で一生懸命抱卵しているのを見ているだけに残念であった。しかし、カラスが雛や卵を捕食するのも自然現象である。自然を守るということは、そういうものを含めて自然界の現象、自然界の秩序をありのままに守ることなのだろうか。難しい問題がありそうである。

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