9.仲間川マングローブ紀行(1)−ヒルギたち
[2005年 3月 9日(水)](その6)
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遊覧船乗り場(仲間川) |
さて、ここからが今回の旅の目的とも言えるマングローブを実際に見るというところに入る
マングローブとは、
「世界の熱帯と亜熱帯の海岸や河口域など、潮の干満があり泥土の堆積するところ(感潮域)には、
陸上の植物に比べて特殊な生理と異なる生態や形態をもった樹木たちの群落がある。
この群落は『マングローブ』とよばれている。」
(中村武久「植物の世界119」朝日新聞社 1996 p.13−306)
つまり、マンフローブとは、いくつかの樹木の総称ではなく、ある特定の環境の生態系全体を指し、
その環境に棲息する樹木はもちろん魚類や貝類、昆虫などを含む生物全体のことである
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マングローブ遊覧船(仲間川) |
実際のマングローブの観察は、世界でも有数のマングローブ域である仲間川の河口を
海側から遊覧船で遡上しながら見学し再び戻ってくるというもの
川を遡上するということ、それも見学に適した干潮時にも運行することからおもちゃのような小さな遊覧船が使われる
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マングローブ遊覧船(仲間川) |
我々の遊覧船はこんな感じでほぼ満員状態であった
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はじめて見るマングローブ(仲間川) |
遊覧船には干潮時を選んで乗船したのは、マングローブ植物の根元が干上がった状態で見学するためである
この辺りが見えないと普通の植物との違いが判らない
マングローブの特徴は、潮の干満で根元の土が洗い去られる、水に塩分が多く含まれるなどだからである
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マヤプシキ(仲間川) |
マヤプシキというのは沖縄の方言で、標準和名ではハマザクロ(ハマザクロ科)という
地面からたくさん生えているのは幼植物ではなく、気根である
これが大きくなって一本の木に成長するのではなく
根元が海水に覆われて呼吸ができないため、空気を求めて空中に伸び立ってきたというものだ
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オヒルギ(仲間川) |
同じように呼吸をするという機能と、干満のための潮流に流されないようにということで
オヒルギ(ヒルギ科)の根はこのような形態をしている
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マングローブ植物の根(仲間川) |
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マングローブ植物の根(仲間川) |
我々の乗った遊覧船の運行時間がちょうど干潮時にあたったため
マングローブ植物の根の構造をよく見ることができた
もちろん潮流に耐える構造をしている訳だが、それでもこのように倒されているものを見ることも再三であった
一見、陽光さんさんとした植物には暮らしやすい様に見える亜熱帯でもこのような厳しい環境をしているということになる
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オヒルギ(仲間川) |
このあたりで見られるヒルギ類は、オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギなどであるが
このように赤い花を咲かせているのはオヒルギである
別名アカバナヒルギというのは、もちろんこの赤い花に由来する
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サキシマスオウの根(仲間川) |
これだけの根を持っているにも拘わらず倒されるというのは
潮流ばかりではなく、毎年沖縄を襲う強烈な台風ということもある
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アダン(仲間川) |
仲間川の両岸はマヤプシキやヒルギ類が優先しているが、
ときおり、こんな巨大な実をつけるアダンなどを見ることができる
遊覧船なので近づくわけにも立ち止まるわけにも行かない
望遠レンズを手持ちで構えて次々にシャッターを切ってゆくことしかできない