花追い人のホームページです。
シーズンズグリーティング
秋の夜は母を思ってタマスダレ
10月第1週
(10月1日〜10月7日)


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タマスダレ(長瀞 道光寺=尾花寺)  私ごとで大変恐縮だが、都会生まれのため子供の頃に野遊び・水遊び・花遊びのようなことをした記憶がない。
私が花に興味を持ち始めたのは30代半ば、十分に中年の域に達してからだ。
それまでは、多くの男性がそうであるように、バラとチューリップの区別がつくという程度のものであった。

 こんなことだから、日本の男たちは文化程度が低いなんて言われてしまう。
確かに「技術」とか「経済」とか言った「文明」は男が担っているかもしれないけれど「文化」についてはちょっとお寒い。
そう言われると一言もないというのが正直なところだ。

 私の母は余技に華道の教授の看板をあげていたくらいで家の中には、いけ花が絶えたことがなかった。が、母から花の名を教わったという記憶はほとんどない。
ただ一つ明確に母から名を教わったタマスダレ(神代植物公園)のを記憶しているのがタマスダレである。
秋、9月の末から10月の初頭になると、ちょっと風情のある家の玄関先に一列になって咲き始めるのがこの花である。
山野に咲く野草というのではない。市街地で栽培されている花だが、雨上がりの風情には格別のものがある。
いつも必ず母を思い出す花である。

 しろじろと息つめてをり玉すだれ

俳人、伝田藍(でんだ あい)はこの純白の花が醸し出す静けさをこう詠んだ。
1871年頃に渡来して以来、観賞用として庭園に栽培され親しまれているが、花の寿命は約3日と短い。
雨の翌日には不思議と花茎が伸び、レインリリーとも呼ばれる。
(清水満郎 "週刊花百科フルール 24 彼岸花とネリネ" 1995 講談社 p16)

 私の撮影フィールドである神代植物公園では、9月の下旬にピークとなる「秋の七草」やヒガンバナなどの秋の草花が一通り終わった。
10月上旬から中旬にかけての秋咲きのバラのピークまでのわずかな期間、ちょっとした端境期に突入する。
よくしたもので、こんな時期に見頃を迎えてくれる花もあるので大いに助かっている。
神代植物公園の大芝生広場の真ん中あたりにススキの化け物のような巨大な穂をもつ植物がある。
この植物園の看板の様な植物はパンパスグラス。
メキシコあたりの草原(パンパス)を代表する草(グラス)だ。
ススキなら小さな雄しべが花粉を吹き出しパンパスグラス(神代植物公園)ているところを観察することで花の時期がよく判るのだが、このパンパスグラスは専門家の調査ではいづれも雌株とのこと。
雌株は花粉を出さないので花の時期なのかどうかはっきりしない。
しかし、この時期に遠目によく目立つようになれば花の時期だと思って間違いない。

 ついこの間までの暑さは完全にどこえやら。
だいぶ寒い日が混じってきました。
花追い人のシーズンはあと一月くらいで終わってしまう。
こんな連載を秋にはじめてどうする。
春にはじめて秋頃にひっそりと終わるのが妥当というものだ。
まあ、なんとかなるだろう。読者(?)のみなさまの応援をいただけるのなら。


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