石神井公園に鳩を見に行く
12月第1週(12月3日〜12月9日)
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日本の野鳥555種(1989年)の中にハト科に分類される鳥は10種。しかし、われわれが普通に見かけるハトは2種類である。普通に神社や公園で見かけるのがドバト。そして、都市近郊のちょっとした林の底でごそごそと音がしたらそれはキジバトだ。
ドバトは公園のハトである。お堂にもいたりするから堂鳩からドバトとなった。バードウォッチングの世界では、カワラバトから家禽用に改良されたものが籠抜けしたものとして野鳥としては認められていない。したがって冒頭の10種には数えられていないのだ。だから、これを撮影しても普通は野鳥写真というものにはならない。だが、そんなことには拘らない、美しい秋色の中のステージにいれば野鳥写真ではなくてもこれは風景写真。
ドバトとはちがって、キジバト(写真1)はれっきとした野鳥。ドバトが大きな群で行動するのに対してキジバトは単独か、つがいの単位くらいで行動する。野鳥としては比較的人間の近くまでやってくるが、ドバトのようにわざわざ人間の近くへ飛んでくるような行動はとらない。木の枝に止まり胸を大きく膨らませてさえずる。ででぽーででぽーと。
とにかく花の少なくなった季節の中で、この時期に見頃を迎えるのがツワブキ(写真2)。和名の由来はツヤ(光沢)ブキの訛ったもの。葉がまるくて、フキの葉に似る。その葉に光沢がある。なお、フキは拭葉で、トイレートペーパーに利用したことに由来する。
キク科ツワブキ属の常緑の多年草。我が家の狭い庭では何の世話もしないで築16年になってもまだ細々と花をつける。
築16年といえば、現在我が家はリフォーム工事中。休日をほとんど潰して工事の立ち会いやら待機やら。なかなか撮影に出られなくてストレスいっぱいだ。風呂とトイレのリフォーム、屋根・外壁の塗装工事のいづれもほとんど終わり、この日は工事手配の関係で残されていた便器の加工工事だけが入っていた。それだけでも出かけることができない。夕方、工事終了を待って飛び出したのが浦和市のさくら草公園。早くも日没が近く撮影は最初から急ピッチ。
今やめずらしいサクラソウの自生地として「特別天然記念物」に指定されている。サクラソウのシーズンには早朝から多くの見物人とカメラマンが押し寄せるところになる。ただしサクラソウの季節以外はこれといった被写体はなくもちろんこんなところに撮影に出かける物好きなひとは誰もいない。雑木林と枯れススキ。それでも日没の情景はなかなか見応えがある。
サクラソウの本来の自生地は毎年決まって氾濫を起こすような大きな川の川原ということになっている。ここに隣接しているのは荒川。この地形がサクラソウの自生地そのものを秋から冬に掛けては広大な芦原に変身する。この時期には広大な芦原に夕日が映える美しい場所になる(写真3)。そして、春先には野焼きが行われ再び一面のサクラソウの自生地に戻る。
国の特別天然記念物ということで、かなり貴重なものとして認識されているのだと思うのだが、周囲の看板で見る限り当面の敵はサクラソウの盗掘ではない。東京にほど近いということもあるのだろうけれど、産業廃棄物の不法投棄というのが問題のようだ。なるほど、サクラソウの開花時期は可憐な花が一面を彩るし、それなりに見に来る人もいるのだが、花の時期が終わると単なる原野にしか見えない。訪れる人もまばらで格好の産廃投棄場と化するようだ。
夕方4時少し前からの撮影行であるから日没まで1時間足らず。撮影は沈み行く夕日との競争になる。特別な被写体があるというわけでもないけれど、この場所の夕日はいつ見てもすばらしい。特に晴れた日。特に冬。枯れた芦が茂るだけのところ。西の空の雲が夕日を受けて騒ぎ出す。日が暮れて撮影を終える。夕日の色が空を染める。刻一刻と空の色がうつろう。明日の晴天を約束する夕焼けが近い。
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