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シーズンズグリーティング
2月第3週(2月18日〜2月24日)

日々に増す春らしさを追いかけて

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竹林(小田原市辻村植物公園)[2月18日]
 先週は、湯河原梅林、熱海梅林、修善寺梅林といった伊豆を中心とした有名梅林をはしごでご紹介した。そろそろ梅には飽き飽きした。早くサクラを見せろとの声もあるが、まだサクラというわけにはゆかず、もう少し有名梅林めぐりにお付き合いいただこうと思う。先週の伊豆から少しづつ東京方面に向かって移動。梅ということで小田原城址公園周辺と小田原市辻村植物公園のご紹介だ。
 小田原城址公園の少し手前で(箱根側から見て)、まずは新しい博物館に立ち寄ることにした。小田原市の入瓜田にできた「生命の星・地球博物館」だ。入館すると地質の展示から古生物の展示に入る。巨大な動物標本の片隅に昆虫の標本。昆虫標本とはいっても機械的に並べたものとは違ってちょっと見せ方に工夫があるもの。壁面全体が蝶が舞うように標本が並べられた。この蝶の展示はなかなか意欲的で美しく何枚か写真を撮ったが、このコーナーにはそぐわないため割愛させていただく。このほか、枯れ草の中に擬態した昆虫を捜したりするものなど、意欲的な展示が見られる。
 小田原城祉公園は梅の名所。ということで出かけてみたが今一つ見所がない。城の本丸のすぐ横の一本の緑萼梅(りょくがくばい)がちょうど満開であった。普通の白梅は白い花弁の元にある萼が赤く、これがぽっと暖かみを感じさせて美しいのだが、この萼の部分が緑色のものを緑萼梅という。少し離れてみると花全体がかすかに青ざめて見える。梅一輪の暖かさが無くむしろクールな感じ。これもなかなかのものであった。緑萼梅は収穫用の梅林ではまず見かけないが観光用の梅林や寺院などの鑑賞用梅林ではここに限らずたいてい植えられている。萼の色に気をつけて捜してみていただきたい。
 次ぎは小田原市きっての梅の名所、小田原市辻村植物公園である。この植物公園の大半は梅林となっており、約560本のウメが栽植されている。およそ60〜70年の樹齢を重ねた姿の美しいウメの老樹が、2〜3月頃に煙るように花をつづり、あたり一面にふくいくとした香を漂わせます。梅も見頃を迎えているのだが、あまりにも梅が続いたので、ここでは別の写真を掲載することにした。辻村植物公園には何回か訪れているのだが、駐車場に車を駐めるといつも道路を渡ってしまっていたので駐車場のすぐ横にある竹林には気がつかなかった。気づいて見れば見事な竹林。竹林の中に特別な通路が作られており、ここから魚眼レンズをつけてやや下向きに撮影したのがこの写真である。(写真1)

コガモ泳ぐ(石神井公園)[2月21日]
 この日は、近くの石神井公園に、ありきたりの野鳥を見に行く。特に珍鳥を期待しているわけではない。普通のカモたちとか、スズメやシジュウカラとか、そんなありふれた野鳥たちの普段の生活をかいま見るだけである。
 鳥に餌をやる人が後を絶たない。鳥たちはかなり遠くでも餌を貰えそうだと飛んで行くことを覚えた。困ったことは、鳥たちに餌をやっている人達は自らを自然を大切にするよいことをしていると心から思っていることだ。実は人の手からの食料を得ることを好まない鳥もいるのだから、野鳥に餌を与えるということは、特定の生物に肩入れしていることになる。そのことが自然破壊だとうことに思いが届かない。さらに彼らは雨の日や雪の日には餌を与えるために出かけることは無い。もちろん渡り鳥の渡り先まで餌を持っていったりもしない。普段栄養状態がよくなると彼らは卵をたくさん生んで雛の数を増やす。そして、雨や雪、あるいは渡り先で餓死するという運命をたどらないとも限らない。そんなカモたちを撮影する。
 コガモといっても "子鴨" のことではない。大きく成長するとマガモになるなんてことはない。日本で見掛けるカモの中では最も体が小さい "小鴨" である。他のカモに混じっているときは誰が見ても明らかに体が小さいが、これだけを単独に見たときは体の大きさでの区別はできない。雄の顔の周りの独特な模様で覚えておかなければならない。(写真2)

ほんのりと春−梅"紅千鳥"(神代植物公園)
[2月22日]
 神代植物公園の裏手、公園からは少し遠いけれど駐車禁止になっていないことからいつも車を止めているところだ。ここに車を止めると圃場の方で誰かが撮影している気配。こんなところに特に花は咲いていないんじゃないかと思いながら見てみると、撮影しているのは神代植物公園の常連であるH氏。狙っているのは木の根本にできた氷の芸術。聞けばこれを3〜4日ずっと狙っていると。知り合いが狙っていなかったら気がつかなかった被写体である。
 実は圃場の中を作業用のホースが通っているのだが、これに穴が開いていていつも水が噴き出している。これが樹木に掛かるのだ。寒い日が続いてこの水が氷の芸術を作り出した。ちょっと簡単には溶けそうにもないが見ている間にわずかの風で倒れて割れた。こういう物ははかないもののようだ。立春は過ぎたけれど、寒さゆえのこんな撮影。
 今週の最後は遅咲きの梅。梅の観賞時期が長いのは数多くの品種の梅が順時花をつけるからであるが、遅咲きの「紅千鳥」という濃厚な色の品種がもしかしたら最も美しい花を咲かせる梅なのかもしれない。(写真3)

ここでもう先週につづいて梅のうんちくを少々。
◆梅は日本在来のものではなく、7〜8世紀頃に中国から薬用として渡来したといわれます。日本書紀や古事記には梅の記載はないのですが、万葉集には多くの梅の歌がありその数は桜の約3倍にのぼります。万葉時代に大宮人の間に急速に普及したことがわかります。
◆「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 あるじ無しとて春な忘れそ」。菅原道真が太宰府へ左遷される時(901年)の和歌です。よほど主人想いの梅だったのでしょう。太宰府天満宮ではこの梅が一夜の内に飛んできたと「飛梅(とびうめ)伝説」になっています。
◆春の兆しを感じていち早く咲くので,好まれるのでしょうか。「夜来香」というのは,暗闇にほのかに香り来る梅の香りのことです。

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