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3月第2週(3月11日〜3月17日)
江戸町人文化のふるさと−向島百花園の春
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[3月12日]
この日は朝、上野公園不忍池へ立ち寄ってユリカモメを中心とした野鳥写真を撮影した。そのあと向島百花園へまわったのだが、写真は向島百花園のものを中心にご紹介してゆく。
それにしても上野公園不忍池へのユリカモメの進出はめざましいものがある。本来海辺で暮らしている鳥が内陸の上野で見られると言うことは、こちらに住居を移したということなのか、それとも毎日ねぐらから通ってくるということなのかは分からない。いづれにしても、水面に撒かれた餌だとか空中に投げ上げられたものだとかを問わず人から餌をもらうということにすっかりなじんでしまった。
上野公園は海から遠いと言うことで、本来海辺に暮らすユリカモメの進出が話題となったくらいだが、この日ユリカモメ以外のカモメ類の進出を観察した。それも1羽2羽ではなく幼鳥も含めてかなりの数になる。カモメは種類が多く識別もとても難しいのだが、くちばしの下側に紅い斑点。これはセグロカモメ、オオセグロカモメ、その他何種類かの特徴である。本当は分からないのだがセグロカモメとしておく。
ユリカモメ、オナガガモ以上に上野公園で有名なのは、なんといっても世界的な繁殖地を展開したカワウである。ユリカモメやオナガガモは所詮は採餌に訪れるのだし、オナガガモは所詮冬鳥としての滞在だが、カワウにとっては上野公園は集団繁殖のための重要な場だということである。動物園側の集団繁殖が有名だが、蓮池でもいくつかの営巣が見られる。
ユリカモメといえば、在原業平の「いざ言問はん都鳥」である。上野公園から言問橋を渡ると向島百花園に至る。
昼食後は向島百花園。ちょっと御無沙汰で何が咲いているかひらめくものが無くなっている。そういうでたとこ勝負もこういう場所を訪ねる楽しみの一つになる。最初に目に付いたのは少し前から開花しているあせび。白い花は光沢のない花だがピンクがかったものは何とも言えない美しい光沢がある。西洋陶器のランプシェードのよう。光沢と透明感と美しい色合いを兼ね持っている。
開花を発見してうれしくなるのはキブシ。木五倍子(きぶし)なのか木藤(きふじ)なのかはよく分からないけれど、とにかく花のない時期には全く目に触れない木なのに、花が開くとこんなに劇的に目に付くようになる植物もめずらしい。普通は庭植えにしたり盆栽にしたりすることのない植物であるからそのまま十分に自然の残った山の風景が思い起こされる。(写真1:光のシャワー=キブシ(向島百花園))
それからうれしい早春の再開は、オキナグサ。こちらは花が咲いていても目立たない植物である。こんなに大きな花、雄しべは色鮮やかな黄色。全身をすっぽりと囲んでいるのは銀色に輝く長めの密毛である。部分部分をきちっと観察すれば派手な大作りなのだが実際に地面に咲いていてもうっかりしていると気がつかない可能性のある花と言うことになる。この日も一度見過ごして二度目に気がついたくらい。全く気づかない人も多いのではと思われる。
目立たない花ということでは、ウグイスカグラの方が一枚上手である。濃いピンクの花というと目立ちそうであるが実はよほど運が良くなければ見落としてしまうというのが実感である。花が小さいことと下向きにひどくまばらに咲くのだ。木そのものにも存在感がまるで無く、その上花にも存在感がない。その割に昔からよく庭木に用いられていたということは昔の人は今より遥かに植物の観察力が強いということになる。それから、この植物の名前、ほとんどの人が最初に間違って覚えるといういわくつきのものだ。スイカズラ科だからウグイスカズラと覚えてしまう。カズラとは蔓性の植物の総称、この植物は蔓性ではなく鶯神楽=ウグイスカグラなのだ。(写真2:紅色の夢=ウグイスカグラ(向島百花園))
ふと見ると池のところに一羽のコサギ。水辺にサギが居ること自体は別にめずらしいことでもないけれど、サギの真上には真っ赤なカンヒザクラ(以前は緋寒桜とも呼ばれたが別物の彼岸桜と紛らわしいので今では寒緋桜と呼ぶことになっている。)。あまりにも突然、絵のような光景が展開したので少し唖然。池を渡る飛び石の上に三脚をセットして急遽の撮影。園内で他の植物を撮影している人たちも何人かがコサギを発見して撮影に入った頃に私は他の撮影に移ることにした。(写真3:ちょっとお花見=コサギ(向島百花園))
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