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シーズンズグリーティング
4月第3週(4月15日〜4月21日)
(この際だから、またまた、特別増刊号)

サクラの後の一段落の花事情・鳥事情。

少し葉桜(神代植物公園) サクラの満開で世の中全体が浮かれたが、この期間は短い。
一斉に咲き一斉に散るところがサクラのサクラたる所以(ゆえん)だ。
今週は、花の時期にはたっぷりと浮かれて、ようやくやや落ち着きを取り戻した神代植物公園を皮切にその後の季節の紹介をすることにする。

[4月16日]
 神代植物公園は、東京都の公式情報によれば約45.6ヘクタール。
高木19,700本、低木12,400本が植えられているという。
園内はバラ園、ツツジ園、梅園、ハギ園をはじめとして多数のブロックに分かれており、景色を眺めながら植物の知識を得ることができる。
また、古くから伝わる日本の園芸植物の品種の保存や植物・園芸に関する催しや展示会を開き、都民の緑に対する関心を高めるのに一役買っている。

もちろん年間を通じて公開されている訳だが、季節により入園者数には大幅な増減がある。
もっとも賑わうのはサクラの時期と春と秋のバラの時期。
ウラシマソウ(大宮市御蔵 尾島家)ここは酒宴を開いたり夜桜見物をしたりはできないが、それでもサクラの満開には半狂乱な状況になる。
そのサクラも葉桜となり、園内は少し落ち着きを見せたところだ。
現実にはまだまだ鑑賞に値する花はたくさんあり十分に楽しむことは出来る。
[写真1:少し葉桜(神代植物公園)]

[4月18日]
 埼玉県浦和市、川口市、大宮市にまたがるところに見沼田圃(みぬまたんぼ)と称する農業地帯がある。
ここは東京という大マーケットを控えて花卉栽培(かきさいばい)を中心とした近郊農業が営まれている。
こうした農家のひとつに尾島家がある。
毎年ゴールデンウィークになるとかならず尾島家を訪問するのはここが、今やほとんど見られなくなったクマガイソウとイカリソウの自生地となっているからだ。
クマガイソウの開花時期は年によって変動があるが4月29日を中心とした時期に当たる。
イカリソウ(大宮市御蔵 尾島家)もちろんまだ早いのだが、今年はここで撮影会を行う計画があるので下見を兼ねて訪問したという訳である。

(尾島家は個人宅であるが、クマガイソウとイカリソウの自生地として大宮市指定の天然記念物に指定されており、花関係のガイドブックにも記載されていることからあえて個人名のまま記載した。一般の方も訪問可能だがそれだけのマナーは守りたいものである。入園料200円)

 植物図鑑の解説文的にいうと、ウラシマソウ(サトイモ科テンナンショウ属)は、北海道の一部、本州、四国、九州の湿り気のある山林や竹藪に自生する多年草だ。
草丈は30〜40センチ、葉は1枚、まれに2枚で、15片内外の鳥足状にわかれた、やや光沢のある暗緑色の小葉からなり、偽茎は暗緑地に紫褐色の班紋が入る。
4月から5月に、葉柄基部から短い柄をだして黒紫色の仏焔苞をつけ、肉穂の先端は紫黒色の鞭のように細長く30〜50センチものび、あたかも浦島太郎が釣り糸をたれているようになる。ということになる。
マムシグサなどとよく似て見るからに不気味風貌から好きな人と嫌いな人の両極端になるようだ。
[写真2:ウラシマソウ(大宮市御蔵 尾島家)]

 イカリソウは山野草の愛好家ならば1株は所持しているはずといってよい植物だ。
だが、イカリソウだけを専門に栽培している人はおそらくいない。
イカリソウは園芸分野の中でマイナーな存在。
むしろ花らしい花も咲かない'かんあおい'のほうが人気があるくらいだ。
春先にちょっとした里山を歩くと平気で花が咲いているところが目に止まる。
紫色からピンクにみえるのがイカリソウ。
白く見えるのがキバナイカリソウ。
一回り小さな白い花で錨状になる距といわれる部分が目立たないのがバイカイカリソウ(梅花錨草)。
もうひとつ葉が立ちあがって葉の下に花をつけるのがトキワイカリソウ。
それくらいを覚えておけば何とかなる。
[写真3:イカリソウ(大宮市御蔵 尾島家)]

ユリカモメ(東京港野鳥公園) この時期の尾島家でみることのできる花はたくさんあるが、主なものを書いておきたい。
花よりも葉の方が有名な植物のひとつであるヤブレガサ。
今ごろ地面から葉が顔を出してすぼめた傘のように見える。
花が咲く前の葉の色が青々としている頃にちょっと風景写真風に捉えてみるとよい。

 「けまん」という仏具が花の名前の由来となっているのはムラサキケマン。
けまんとは仏教の儀式の時に僧侶が手に持つ道具なのだそうだ。
同じ名前の由来を持つ植物に「ケマンソウ」というのがある。
別名タイツリバナというこの植物もムラサキケマンと同じケシ科なのだが花の形は全く似ていない。

 アマドコロ。花は完全に茎から下にぶら下がっている。
同じ茎の上側には規則正しく葉を並べている。
このため、上から花を見ることが出来ない。
草丈の低い草なので地面に這いつく様にして真横から見るか、下から見上げるようにしてはじめて花が見えるという感じである。
下から見上げると葉を通った光がとても美しい。

[4月21日]
 今週の後半は春の野鳥事情をご紹介する。
東京港野鳥公園の野鳥たちだ。
少し雨模様の時の撮影には東京港野鳥公園は最高である。
なんと言っても冷暖房完備の部屋の中からガラス越しで野鳥を眺めることが出来る。
もし、望むのならコーヒーを飲みながらのバードウォッチングすら可能という好条件。
誰もいないところから思う存分観察/撮影と思いきや、小学生の団体が本来は外で昼食をとるところをネイチャーセンターにござを広げて、にぎやかに食事中であった。
[写真4:ユリカモメ(東京港野鳥公園)]


イソシギ(東京港野鳥公園) 東京港の埋立地によみがえった自然を生かしてつくられたのが東京港野鳥公園だ。
かつての遠浅の海は1960年代後半から埋立が始まり、地面に雨水がたまっていつしか野鳥が集まるようになった。
こうしてできた大井埋立地はバードウォッチングの名所となり、1989年10月現在の東京港野鳥公園が開園した。
これまで、190種以上の野鳥が観察されたという。
[写真5:イソシギ(東京港野鳥公園)]

ガングロ=ユリカモメ夏羽根(東京港野鳥公園) そう言えばユリカモメの夏羽への換羽が始まる季節になった。
ユリカモメがたくさん群れを作っているような時に、白い顔に小さな斑点をもった大群の中で一羽か二羽だけが顔の上半分が黒くなっている。
そんな状況になる。
この鳥は冬鳥だからみんなが夏羽になる前に渡っていってしまう。
だからいつもガングロ鳥は多数派にはなれない。
[写真6:ガングロ=ユリカモメ夏羽根(東京港野鳥公園)]

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