4月第5週(4月29日〜5月5日)
(ゴールデンウィーク真っ盛り、特別増刊号)
春爛漫から初夏−光が丘公園と大宮市御蔵尾島家の花たち。
季節は巡って、春爛漫から初夏。
近所の公園ではハナミズキが満開になった。
天を突く大木、ユリノキには百合の木の語源の通りユリに似た花が見事にさいた。
だがこれは目の高さよりもずっと高いこともあり、葉にまぎれるような緑色の花はめだたない。
前々週に下見のご報告をした大宮市御蔵の尾島家のクマガイソウは予定通りゴールデンウィークに花をつけた。
ここで見られるたくさんの花と共に紹介しよう。
[4月29日]
近所の公園(光が丘公園)へ出かけた目的はいちおう野鳥の撮影であった。
とはいってもスズメ、シジュウカラ、ダイサギなどの普通の鳥たち。
こうした撮影をひととおり終えた。
花の写真を撮るための機材と野鳥撮影用の機材はレンズ、ボディーだけでなく三脚とかフィルムとかを含めて一切別々にしてある。
両方の機材を持って撮影に行くことは不可能だ。
そうすると野鳥撮影の機材で花を撮るという事が発生してくる。
こういうことが新しい写真の糸口になることもあるかもしれない。
[写真1:光を孕んで=ハナミズキ(光が丘公園)]
ハナミズキに引き続き、天を突くユリノキの撮影。
やはり野鳥を撮影するような機材で撮影している。
大きなレンズを持って撮影しているとなにかと話しかけてくる人が居る。
そのレンズは何ミリか、F値はどのくらいか。
どんな見え方をするのか。
何をとるのか。などなど。
写真談義も被写体談義も大好きだからいくらでもおつきあいをしますが、お願いだからファインダーを覗いているときは話しかけないで下さい。
どれくらい集中しているか判らないですか。
[写真2:ユリノキ新緑(光が丘公園)]
[4月30日]
前々週に下見をしたのはこの日のミニ撮影会のためであった。
大宮市御蔵の尾島家で予定通りクマガイソウが咲いているという想定でのミニ撮影会である。
昨年は雨ということもあり、参加者が無く集合場所で空しく時間をつぶした挙句、一人で出向いたものだった。(ミニ撮影会では特に出席予約を取らないため参加者0だと悲しい)
今年は、車3台に分乗しての大撮影会並になった。
「クマガイソウだけじゃありません。100種類を超える花が見られます」というのがアピールしたのだろうか。
ミニ撮影会は初心者への指導をするという触込み。
「花の撮影はどのレンズでもいいから、逆光線でローアングル。」
これを指導の基本とした。
実はそんな決まりは一切無いのだけれど、光を読むこと、普段の立ったままのアングルと少しでも違ったアングルを見つけること、そう言うことを意識して欲しいということなのである。
とは言っても、この場所の主役はやはりクマガイソウ。
なんといっても見事なものである。
下調べもばっちり。
きっちりと見頃を押さえてある。
だけど、この場所の主役であれば誰でもレンズを向ける。
そうすればたいていの写真は誰かがいつか撮ったものと同じ様になる。
そういうことも確かなのだ。
この場所で見られるクマガイソウ以外の花について主なものを紹介する。
まずはキンラン。
もともとはありふれた草なのだが、最近は数が減ってきているという。
といっても滅多に見られるものじゃないというのが実感だ。
キンランは他の草と比べて競争力が弱いため、雑草に埋もれてしまうと、自然に消滅してしまうとのこと。
数が減ってきたのは環境汚染や乱獲のせいではなく、林内の下草刈りなどがあまり行われなくなったせいではないか、というのだ。
なるほど野生ランとはいってもさほど目立つ花ではなく、極端な乱獲は少ないかもしれない。アマドコロの撮影では、逆光線・ローアングルが効を奏する。
この花は順光線で見たりハイアングル(目高からのアングル)で見ても決して美しくは見えないのだ。
これをカエルのように這いつくばって下から見上げると初めて見たアングルの新鮮さも含め必ず感動する。
感動して撮った写真は必ずいい写真になる。
今日の初心者指導の圧巻となった場面。
[写真3:並んで−アマドコロ(大宮市御蔵
尾島家)]
ケマンソウ
花言葉:冷めはじめた恋
ハート型の花が垂れ下がり列なって咲くケシ科の植物です。
10〜11月に水はけがよく、明るい日陰になる場所に植えつけます。
寒さにはつよいですが、暑さには強くありません。
夏以降は地上部が枯死する場合もありますが、再生してきます。
ヒマワリは東向きに花を咲かせることが有名になっている。
どこの群生写真でも基本的には同じ向きに花を向けて並んでいる。
クマガイソウについてはそう言う話を特に聞いたことは無いけれど、こうして見ているとみんなやや西向きに花を向けているように見える。
ヒマワリのように花を咲かせる前に太陽の向きに呼応して首を回したりするのだろうか。
[写真4:群落=クマガイソウ(大宮市御蔵
尾島家)]
クマガイソウ
クマガイソウは「熊が居そう」な所に咲くわけではありません。
袋状の唇弁を平家物語、壇ノ浦の合戦の名場面。
熊谷直実が背負った母衣(ほろ)にたとえて名前が付けられたもので,別名はホロカケソウ(母衣掛け草)。
なお、クマガイソウに対応させたアツモリソウ(敦盛草)というのがあります。
こちらは平敦盛にちなむものです。葉はひだがあり団扇状で、2枚が対生しています。
[写真5:プロフィール=クマガイソウ(大宮市御蔵
尾島家)]
[5月4日]
最後にこの時期には外せない野草を紹介しておく。
先ほどまでのクマガイソウ自生地とは別の場所の撮影のものだ。
ちょっと湿った日陰だからあまり花を探しには行かない場所である。
都内近郊で案外見られる場所が多い野草である。
いわゆる踊り子たちが編み笠をかぶって輪になって踊っているところを想像して欲しい。
[写真6:輪になって踊る=踊子草(赤塚植物園)]
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