5月第4週(5月27日〜6月2日)
初夏、新緑の樹木たちは。
日本の気候で、夏といわれている季節は、@初夏、A梅雨、B盛夏の3つに分けることができる。
このうち初夏というのは、5月5日(年によって多少変動する)の「立夏」から入梅までというのを目安にすればいい。
フジの花が咲き、ツツジが咲く。その他なんでもかんでも百花繚乱。
一年中で最も花が多い季節である。それと同時に新緑が美しい季節でもある。
すがすがしい薫風。花と新緑の季節だ。
恋する女が美しいように、新緑が美しいのはたいていその木に花が咲いていることが多い。
春、シダレヤナギが輝くような新緑を見せる頃、葉の間には毛虫のような小さな花が咲いていることをご存知だろうか。
カエデの新緑も春だが、こんな時も目を凝らして見れば一ミリにも満たないような小さな花を見ることができる。
イチョウ、クスノキ、…。
普通は花が咲くことになっていない樹木も新緑が最も美しく見える頃に、ひっそりと目立たずに花をつけている。
木の花は、サクラとかモクレンとかのいわゆる花木といわれるような良く目立つ花をつけるものと、ほとんど鑑賞しないような花をつけるものがある。
今週はこんな季節の木を紹介することにしよう。
[5月29日]
私の住まいから一番近い植物園が板橋区立赤塚植物園である。
小さな植物園ではあるがちょっと中途半端な時間ができた時に気楽に立ち寄ることができる。
身近に有るので頻繁に訪れていると確実に季節感の目安になる。
ここで花期情報を仕入れてから近郊の撮影地へ向かうことがよくある。
ここでの木の初夏をご紹介しよう。
イボタノキ
普通は花の写真ということで撮影することはまずない植物といっていいんだろう。
はっと息を呑む美しさに思わず足を止めた。
枝葉にはロ−ムシがつき、イボタ蝋ができるというあれである。
[写真1:満開=イボタノキ(赤塚植物園)]
[5月30日]
次はおなじみの神代植物公園から。
トチノキ
栃葉といえば味噌を包んだりする。
食料品を植物の葉で包むのは単なる紙の代用ではない。
当然殺菌作用や防腐作用があるし、なによりも良い香りが移る。
こういう文化が失われて行くのは淋しいことだ。
同じ発音だが、栃歯といえば下駄の歯である。
キリの下駄でも歯だけは栃の木を用いたりする。
有用樹だが意外と花は観賞されていない。
蜂蜜の蜜原になるほどの花なのに。
ここでは花のないトチノキ。
新緑を美しくする重要なメンバーだ。
[写真2:緑陰=トチノキ(神代植物公園)]
[6月2日]
以前にこのコーナーでもご紹介したような気がするけれど、富士五湖の西湖の近くにある根場民宿村の西側に広がる、青木ケ原樹海に囲まれた公園。
ここにはヤマガラ、ホオジロ、メジロはじめ約60種類もの野鳥が生息している。
園内の樹海ギャラリーには、周辺の動物に関する資料や写真を展示するコーナーや、望遠鏡を備えたバードウォッチング室がある。
ということで野鳥のフィールドとして知られているが、案外植物関係も充実している。
たまには野鳥用の撮影機材を車に残して植物用の機材で歩いてみると新しい発見がある。
花壇のコデマリ、ジャーマンアイリスもなかなかだったがここはやはり野生の植物を見たいところだ。
そうこうしているところに一本のシラカバ。花がさいているという訳ではないが、新緑と初夏の光という単純な光景に思わず足を止めた。
[写真3:高原の風=シラカバ(野鳥の森公園)]
撮影データ
写真1:満開=イボタノキ(赤塚植物園)
CANON EOS-1N EF200mm F1:2.8L
f2.8 (1/60) ±0EV Konica Chrome SINRA 森羅(SRS)
GITZO #468L Manfrotto #141RC 2000.5.29(月) 10:10 (00554C-13)
写真2:緑陰=トチノキ(神代植物公園)
CANON EOS-1N SIGMA 15mm F2.8 EX FISHEYE
f2.8 (1/50) +1.0EV Konica Chrome SINRA 森羅(SRS)
GITZO #468L Manfrotto #141RC 2000.5.30(火) 11:58 (00554C-29)
写真3:高原の風=シラカバ(野鳥の森公園)
CANON EOS-1N EF200mm F1:2.8L
f2.8 (1/500) +0.7EV FUJICHROME Velvia(RVP)
GITZO #468L Manfrotto #141RC 2000.6.2(金) 13:49 (00556V-9)
前の週、次の週がないときは、インデックスへ戻ります。