6月第1週(6月3日〜6月9日)
入梅近く、水元公園のアサザとハナショウブ。
[6月8日]
いつもは野鳥撮影に出かける水元公園であるが、6月、入梅が近くなってくると別の表情の撮影地となる。
この時期の水元公園の目玉は二つ。
園内一面に咲き誇るのが20万株といわれるハナショウブ。
堀切菖蒲園、明治神宮内苑と並び賞されるが数では水元公園が一番だと思っている。
もうひとつは、水元公園のはずれのごんぱち池。
ここまで水元公園とはちょっと気がつかないくらい離れているが、ここがアサザという植物の都内最後の自生地である。
今回はこんな水元公園をご案内しよう。
近頃は割合と見る機会が多くなったアサザであるが、見る機会が多くなっているのはあくまでも栽培品ということだ。
自生という意味では絶滅危惧植物である。
水元公園ごんぱち池は都内唯一の自生地である。
以前は釣り人が多く釣り糸が根を傷めて非常に危惧される状態にあった。
今年出かけてみたら、ごんぱち池の周囲に金網がぐるりと設置され全く近づくことはできない。
こういう時は超望遠レンズを使って極端に浅い被写界深度を用いて金網をアウトフォーカスで消してしまうことだ。
画面としては金網は全く見えない写真を作ることは可能だが逆光線の玉ボケの中レンズの前の金網の形がくっきりと現れた。[写真1]
水元公園は水郷の景観を持つ公園だ。
ここの池は、江戸時代、江戸の町を洪水から守るために作られた遊水地で、平常時は水田を潤す水の源として使われていた。
そのことから水元の名がある。
また、古くは「釣仙郷」の名でも知られ、今でもこの水辺で釣糸をたれる人が多い。
サクラにスイレン、ポプラ並木にメタセコイアの森など、水と陸の両方にさまざまな植物が見られるが、最大の見どころは、やはり都内一の規模を誇るハナショウブ。
6月中旬の満開時、園内12ヵ所の菖蒲田に約100種、20万株の花が咲き揃う様はあっと息をのむほどの景観だ。
入梅といえば、ハナショウブとアジサイということになる。
毎年決まって何ヵ所かにハナショウブの撮影に出るがその中に水元公園が入らないと言うことは無い。[写真2]
ところで、ハナショウブが園芸種として発展したのは江戸時代。
主要な産地として、江戸系、伊勢系、肥後系の系列に区別される。
水元公園に植えられているハナショウブはもちろん江戸系が中心である。
江戸系は、主に庭園に群生させて全体の美しさを鑑賞するもので、鑑賞者の視点も座敷の高さから庭を見るものであったため、花被片が垂れず上を向いて咲く「受け咲き」の花形[酔美人]や、平らな花形で、紫色の脈が遠目にも映えるもの[東鑑]また、群生した際の色彩のさわやかさを特徴とする品種[浜名の風]などが珍重された。[写真3]
撮影データ
写真1:輝き=アサザ(水元公園 ごんぱち池)
Canon new F-1 AE FD500mm F1:4.5L EXTENDER FD 1.4x-A
f4.5(×1.4) (1/1000付近) (露出補正:0) FUJICHROME PROVIA100 PRO(RDPU)
Manfrotto #055 #141 2000.6.8(木) 09:39 (00C12D-11)
写真2:ハナショウブ "春の海"(水元公園)
CANON EOS-1N EF20-35mmZOOM F1:3.5-4.5 USM (20mm付近) C-PL
f3.5 (1/500) ±0EV Konica Chrome SINRA 森羅(SRS)
三脚使用せず 2000.6.8(木) 10:18 (00558C-F)
写真3:ハナショウブ "江戸不知火"(水元公園)
CANON EOS-1N EF200mm F1:2.8L
f2.8 (1/800) (露出補正:0) Konica Chrome SINRA 森羅(SRS)
GITZO #468L Manfrotto #141RC 2000.6.8(木) 10:37 (00558C-7)