花追い人のホームページです。
シーズンズグリーティング
7月第2週(7月8日〜7月14日)

信州花追い撮影旅行。
(さわやかに特別増刊号)
信州。
なんという爽やかな響きだろう。
特に夏、花を追いかけて信州を訪ねる。
今回はニッコウキスゲに黄色く染まる蓼科、車山の紹介なのだが、ニッコウキスゲ以外にどんな花に出会えるのか、そのあたりを楽しんでいただけたらと思う。

[写真1]:蓼科山−イブキトラノオ(車山高原)
蓼科山−イブキトラノオ(車山高原)

[7月10日]
イブキトラノオ。
単体で見ても美しい花には見えないけれど、
"高原の夏" を一人で象徴しているような、そんな強い印象がある。
ひとつの穂の中には無数の小さい花がついていて、ひとつひとつの花は見えない。
だから派手さはないのだろうが、秋のワレモコウのように夏のイブキトラノオも欠かすことのできない花である。
「○○トラノオ」という植物は、直立した茎や枝先に円柱状に花を密生した姿を「虎の尾」に見立てて名づけられたらしい。
複数の科にみられるが、いずれも勇猛な虎のイメージはなく、むしろ可憐である。
真っ先に連想するのはオカトラノオ、ヌマトラノオだがこれはサクラソウ科。
イブキトラノオは、タデ科の植物で、最初に滋賀・岐阜県境の伊吹山で見つかったことから名づけられた。
[写真1]:蓼科山−イブキトラノオ(車山高原)


[写真2]:強い陽射し−ニッコウキスゲ(車山高原)
強い陽射し−ニッコウキスゲ(車山高原)

結果的にはいろいろな花を撮影して帰るのだがメインの目的はニッコウキスゲである。
だから参加メンバーの都合よりもニッコウキスゲの開花時期によって日程がセットされた。
東京が梅雨空ではっきりしない時でも、信州では抜けるような青空が広がることがある。一面に咲くニッコウキスゲの黄色よりも、
東京では見られない空の深い青色の方がより一層印象的である。
[写真2]:強い陽射し−ニッコウキスゲ(車山高原)


[写真3]:光のステージ−ハクサンチドリ(大河原峠)
光のステージ−ハクサンチドリ(大河原峠)

車山高原を後にして大河原峠に向かう。
しばらくは山道のドライブだ。
ここは八ヶ岳方面の登山道の交差点。
八ヶ岳方面の登山道と蓼科山方面とが交差する。
標高2093メートル。
車で簡単に登れるとはいえかなりの標高と言うことになる。
あたりはカラマツとコメツガの世界。この少し上辺りでゴゼンタチバナの群落を見つけてしまった。
さんさんと輝く太陽の光を浴び、夏を迎えた高山の草地を優しく彩って、紅紫色の花を咲かせるハクサンチドリ。
江戸時代、人々が比較的簡単に登れるのは、修験者(しゅげんじゃ)のためにつけられた登山道のある山に限られていた。
ハクサンチドリが石川県と岐阜県の境にある白山で最初に発見されたのも、そんな登山道のある山だったからである。
[写真3]:光のステージ−ハクサンチドリ(大河原峠)


[写真1]:ゴゼンタチバナ(御泉水自然園)
ゴゼンタチバナ(御泉水自然園)

御泉水自然園。
高山植物の宝庫という歌い文句である。
今や高山植物というだけで集客力があるのだろうが、
ここの植物は高山植物であろうかというのが正直な第一印象。
高山植物に厳密な定義はないのかも知れないけれど、
平地や高原くらいで見られる植物を高山植物と言われると違和感がある。
私の感覚では、イブキジャコウソウ、ゴゼンタチバナは高山植物といっても良いが、
アヤメ、コオニユリ、クリンソウは高山植物とはいいがたい。
うっそうとしたジャングルのように林の中が湿地になっている。
木道でずっと歩くことができる。
どこにも花がない状態である。
どんどんと歩いて行くと足許にゴゼンタチバナの小さな群落。
光がほとんどない。
三脚を立てても木道の上ではほとんどぶれてしまうと思われる厳しい撮影状況であった。
ダメもとで何カットかシャッターを切る。もしかしたら写っているかも知れない。
これは間違いなく高山植物だ。
[写真4]:ゴゼンタチバナ(御泉水自然園)


[写真2]:ヤナギラン(蓼科高原別荘地)
ヤナギラン(蓼科高原別荘地)

[7月11日]

蓼科の有志撮影会の2日目。
一行6名の内2名は直接帰る。
山荘の主は山荘に残って翌日に帰るという。
私を含む残り3名はあちこち撮影をしながらのんびりと帰って行こうと言うもの。
その前に全員で別荘地内を散策。
まだ花をつけないウバユリがたくさん群生している。
7月の前半なのに早くもヤナギラン。
とはいっても、たった二株だけ。
この花は穂の下から順次咲き上がって行く。
下の方が開花したころは上の方はつぼみだ。
このつぼみが次に開くころになるとだいぶ横に広がって行く。
その次はもう少しつぼまっている。
一番上は茎と平行でほとんど広がっていない。
こうしてつぼみと茎の角度がグラデーションしている。
[写真5]:ヤナギラン(蓼科高原別荘地)


[写真3]:カラマツソウ(八ヶ岳自然文化園の周辺)
カラマツソウ(八ヶ岳自然文化園の周辺)

別荘地内の撮影を終えて、撮影会はとりあえず解散。
我々は3人になって八ヶ岳のいつもの撮影地へ向かう。
いつもの撮影地は八ヶ岳自然文化園の周辺。
じつはとっておきの撮影地だ。
天気は曇りから次第に下り坂。
霧が出てきて小雨が降り出した。
天気の変化は写真にとってはたいていプラスの要因になる。
カラマツソウは、セツブンソウ、レンゲショウマ、トリカブト、フクジュソウ、オキナグサ、オダマキ。
こうした個性的いっぱいのキンポウゲ科の一員である。
花弁はなく、ガク片も開花と同時に落ちてしまうという。
花に見えるところは雄しべだ。
こうした地味な花ではあるけれどどことなく気品が感じられるのはキンポウゲ科の血筋なのであろうか。
[写真6]:カラマツソウ(八ヶ岳自然文化園の周辺)


撮影データ
[写真1]
蓼科山−イブキトラノオ(車山高原)
CANON EOS-1N EF28mm F1:2.8
f2.8 (1/1250) +1.0EV FUJICHROME Velvia(RVP)
GITZO #468L Manfrotto 141RC 1999.7.10(土) 9:40 (99544V-13)

[写真2]
強い陽射し−ニッコウキスゲ(車山高原)
CANON EOS-1N TAMRON SP500mm REFLEX F1:8.0
f8.0 ERR±0EV FUJICHROME Velvia(RVP)
GITZO #468L Manfrotto 141RC 1999.7.10(土) 9:50 (99544V-21)

[写真3]
光のステージ−ハクサンチドリ(大河原峠)
CANON EOS-1N EF200mm F1:2.8L UNIPLUS TUBE 12+20mm
f2.8 (1/60) +1.0EV FUJICHROME Velvia(RVP)
GITZO #468L Manfrotto 141RC 1999.7.10(土) 14:50 (99545V-30)

[写真4]
ゴゼンタチバナ(御泉水自然園)
CANON EOS-1N TAMRON SP500mm REFLEX F1:8.0
f8.0 (2.5秒) (露出補正:0) FUJICHROME Velvia(RVP)
GITZO #468L Manfrotto 141RC 1999.7.10(土) 16:41 (99546V-33)

[写真5]
ヤナギラン(蓼科高原別荘地)
CANON EOS-1N EF200mm F1:2.8L
f2.8 (1/40) (露出補正:0) FUJICHROME Velvia(RVP)
GITZO #468L Manfrotto 141RC 1999.7.11(日) 9:38 (99547V-08)

[写真6]
カラマツソウ(八ヶ岳自然文化園の周辺)
CANON EOS-1N EF200mm F1:2.8L
f5.6 (1/25) +1.0EV FUJICHROME Velvia(RVP)
GITZO #468L Manfrotto 141RC 1999.7.11(日) 12:11 (99547V-27)

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